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英語ライティングのコツ 7:Introductionで使う現在形と過去形

日本語で読む:Introductionで使う現在形と過去形

一文に動詞が二つある引用文では、研究の行為を報告する動詞は過去形、その研究が明らかにした内容を述べる動詞は過去形にも現在形にもできる。これが結論です。「Gupta et al. showed that X was associated with Y」と「showed that X is associated with Y」はどちらも文法的に正しく、意味の重みだけが違います。日本語の感覚だとこの二つの違いがそもそも意識に上りにくいので、まずそこから整理します。

なぜ日本語の感覚では見えにくいのか

日本語の論文で先行研究を紹介するとき、多くの場合は「〜であることが報告されている」「〜と考えられている」のように、動詞の形をほとんど変えずに文末表現だけで済ませます。過去に行われた実験そのものと、その実験が示した知見が今も通用するかどうかを、動詞の時制で書き分けるという発想が日本語にはあまりありません。英語のIntroductionを書くときに、この二つを無意識に同じ形(多くの場合は現在形、あるいは全部過去形)でそろえてしまうのは、能力の問題というより、母語にない区別を英語だけに新しく持ち込む作業だからです。

一文の中の二つの動詞

典型的な引用文はこの形をしています。

Gupta et al. (2012) showed that increased soil salinity was associated with reduced yield.

「showed」は報告動詞です。Gupta氏らがその研究を行ったのは過去の出来事なので、ここは常に過去形で問題ありません。「shows」と書いても文法的な誤りではありませんが、まるで実験が今目の前で進行しているかのような不自然な響きになります。報告動詞は過去形が既定と考えて構いません。

もう一方の「was associated」は知見動詞です。ここが本当の選択のしどころです。過去形のままなら「あの研究、あのデータではそうだった」という限定的な意味になります。現在形の「is associated」にすると、「あの研究の話ではなく、今もそれが世界の在り方として通用している」という、一段階強い主張になります。

あえて弱い過去形を選ぶとき

ここが実務的に一番使えるポイントです。古い知見を否定・更新する新しい研究を紹介する直前では、古いほうの知見動詞をわざと過去形にしておくと、「however」や「in contrast」を使わなくても、読者は自然に「これは過去の話、次に来るのが現在の理解」と読み取ります。

"Early work suggested that X caused Y. More recent studies show that X causes Y only under specific conditions." のように、時制の切り替えだけで論の流れを作れるのは、英語ならではの技術です。日本語で同じことをしようとすると「しかし近年の研究では」のような接続表現に頼らざるを得ませんが、英語では動詞の時制がその役割の一部を静かに引き受けてくれます。

AIに訳させた・書かせた文章で起きること

日本語のIntroductionをAI翻訳ツールや生成AIで英語にした場合、この時制選択がとくに不安定になりがちです。理由は単純で、元の日本語自体が「これは過去の一研究の話か、今も通用する知見の話か」を動詞の形で区別していないため、AI側はその判断材料を文脈から推測するしかありません。その結果、同じIntroductionの中で、名前を挙げた具体的な研究に現在形の知見動詞を当ててしまったり、逆に分野全体の話に過去形を当ててしまったりと、判断が段落ごとにぶれることがあります。一文ずつ見ると文法的には正しいので、書いた本人も気づきにくいという点が厄介です。

自分のIntroductionで確認する方法

引用を含む文をすべて洗い出し、それぞれについて二つ確認してください。報告動詞は過去形になっているか。そして、知見動詞の時制は意図して選んだものか、それとも前の文の時制をなんとなく引きずっただけか。後者の「時制が文ごとに漂ってしまう」状態のほうが、単発の「間違った時制」よりもよほど頻繁に見つかる問題です。AIに訳させた原稿では、この「意図の有無」を人間が後から補う作業がとくに重要になります。

自分で書いた文は、自分が何を言いたかったか分かっているぶん、時制のずれに気づきにくいものです。Introduction全体をこの視点で確認してほしい場合は、アカデミック英文校正レベル3で文法・構成とあわせて確認できます。AIで下書きや翻訳をした原稿の場合は、単なる誤字脱字の修正では足りないことが多いため、アカデミック英文校正リライトのように、文の構成や時制の意図まで踏み込んで書き直す工程のほうが向いています。Introductionの時制の使い分けだけをまとめて扱った章が、Uni-editの英語版書籍「How to Fix Your Academic English and Publish Your Research Faster」の該当章(英語)にもありますので、さらに深く知りたい方はそちらもどうぞ。

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