日本語で読む:アメリカ英語とイギリス英語の違い
日本の中学・高校の検定教科書は、基本的にアメリカ英語で作られています。"color"、"analyze"、"center" というつづりに、特に迷いなく慣れてきたはずです。ところが投稿先のジャーナルがイギリスの出版社系だったり、イギリスの学会が母体だったりすると、著者向けガイドラインで暗黙にイギリス英語を期待されていることがあります。結論はシンプルです。投稿先ジャーナルの「Author Guidelines」で指定を確認し、原稿全体でその一方だけを使う。指定がなければ、学校で慣れ親しんだアメリカ英語のままで問題ありません。
実務でつづりが混ざる原因は、無知よりもむしろツールにあることが多いです。Wordの校正言語が「英語(イギリス)」に設定されたまま作業していたり、共著者から届いた原稿がイギリス英語で書かれていて、それを自分の部分に貼り付けたりすると、"analyze" と "analyse" が同じ原稿の中に混在してしまいます。これは英語力の問題ではなく、単なる設定ミスや貼り付けミスです。まず、Word の「校閲」→「言語」→「校正言語の設定」を開き、原稿全体が同じ設定になっているかを確認してください。段落ごとに設定が違っていることは珍しくありません。
スペルチェックだけでは見つからない違いもあります。集合名詞の扱いです。アメリカ英語では "the team is planning" のように単数扱いが基本ですが、イギリス英語では "the team are planning" のように複数扱いも一般的です。日本語の「チームは」には単数・複数の区別がそもそもないため、この違いに気づきにくく、スペルチェッカーも指摘してくれません。原稿を通して読み返すときに、意識して確認する必要がある項目です。
生成AIに日本語原稿の英訳や英文の手直しを頼む場合も、つづりの混在は起こります。汎用の生成AIは、アメリカ英語とイギリス英語の両方を大量に含んだデータから学習しているため、一つの依頼、あるいは一つの文書の中で、どちらか一方のつづりを最後まで保持し続けるとは限りません。段落ごとに別々に依頼したり、途中で会話を区切って続きを依頼したりすると、前半は"color"、後半は"colour"のように切り替わってしまうことがあります。原則を先に日本語や英語で明確に伝えておいても、長い原稿全体で完全に守られる保証はないため、AIに手直しさせた原稿ほど、提出前につづりの統一を人の目で確認する価値があります。
投稿先ジャーナルの「Instructions for Authors」または「Author Guidelines」のページを開き、「English」という単語で検索してください。多くのジャーナルは次のような一文を明記しています。
"Authors should use either US English or UK English, but not a mixture of the two."
この指定が見つかれば、それに従って一貫させるだけです。何も書かれていない場合は、国際的なジャーナルやデータベース、文献管理ソフトの多くがアメリカ英語を前提に作られているため、アメリカ英語を既定にしておくのが無難です。逆に、イギリスの大学・学会が発行するジャーナルや、オーストラリア・カナダのジャーナルでは、明記されていなくてもその地域の慣習に寄せておくと安全です。
著者向けガイドラインの探し方そのものに慣れていない場合は、実際の画面操作を追った動画(英語)も参考になります。
覚えておきたい一文:投稿先の指定があればそれに従い、指定がなければアメリカ英語で統一する。学校で身につけた感覚は、この既定値としてそのまま使って構いません。
投稿先ジャーナル選びの段階から迷っている場合は、Uni-editの英語版書籍「How to Fix Your Academic English and Publish Your Research Faster」の投稿先ジャーナルの選び方を扱った章(英語)でより詳しく解説しています。
つづりや集合名詞の一貫性を自分で全部見直す時間がない場合は、英文校正サービスで、文法・構成とあわせて確認することができます。AIで英訳・手直しをした原稿でつづりの混在が心配な場合は、リライト編集のほうが、文書全体の一貫性まで見直せます。
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