日本語には、二つの単語をハイフンでつないで一つの形容詞にするという発想がそもそもありません。「二重盲検の」という日本語は「二重盲検」という一つの熟語であって、二つの語をその場でつなぎ合わせたものではないからです。ところが英語では "a double-blind trial" のように、名詞の前で複数の語を一時的に接着してひとまとまりの形容詞を作ります。名詞の前に置くときはハイフンでつなぎ、名詞の後ろに回したらハイフンを外す。これが基本ルールで、日本語話者にとってはゼロから覚える必要のある感覚です。
二語以上が一つの形容詞として名詞の前に立つとき、ハイフンでつないで「これは一つのまとまりです」と示します。
同じ内容を名詞の後ろに回すと、たいていハイフンは外れます。"the trial was double blind"、"the follow-up was long term" のようになります。名詞の前でひとかたまりの形容詞として働いていたときだけハイフンが必要で、後ろに回った瞬間にその役目は終わります。
ここは日本語話者に限らず誰もが間違えやすい例外です。最初の語が -ly で終わる副詞の場合、名詞の直前にあってもハイフンは要りません。
誤り: "the randomly-selected participants"、"a highly-cited paper"
正しい: "the randomly selected participants"、"a highly cited paper"
-ly の副詞は、隣の語だけを修飾することが文法的に確定しているので、ハイフンで曖昧さを解消する必要がそもそもありません。見た目を整えたくてハイフンを入れたくなる気持ちは分かりますが、ここは何もしないのが正解です。
ハイフンの有無が実験内容そのものを変えてしまう、数少ない例がこれです。
"We recreated the original conditions"(なんとなく元の条件を再現した、という緩い意味)と "We re-created the original conditions"(手順として、元の条件を厳密に作り直した、という意味)は別の文です。同様に re-form と reform、re-sign と resign、re-cover と recover も意味が変わります。方法セクションでこの種の re- 動詞を使うときは、ハイフンの有無を一度立ち止まって確認する価値があります。
名詞の前で、複数の語が「セットでなければ意味をなさない」形容詞になっているかを確認してください。なっていればハイフン。ただし最初の語が -ly で終わっていれば何もしません。名詞の後ろに回ったら、ハイフンはほぼ不要です。この一文を頭に入れておくだけで、次に "well established" を名詞の前で使うときに迷わなくなります。
動きのある例で確認したい方は、ハイフンの3つの使い方を扱った動画(英語)も参考になります。字幕はありませんが、今回のルールと同じ内容を、より多くの例で扱っています。
ハイフン、ダッシュ、コンマなどをまとめて扱った章が、Uni-editの英語版書籍「How to Fix Your Academic English and Publish Your Research Faster」の句読点の章(英語)にもあります。執筆中に何度も参照したい方はこちらもどうぞ。
実際には、ハイフンのミスは単独では出てきません。冠詞の抜けや、方法セクション内での時制のずれと一緒に見つかることがほとんどです。そうした一文単位の確認をまとめて任せたい場合は、英文校正サービスで、投稿前にチェックすることができます。
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