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英語ライティングのコツ 12:査読者を推薦する理由

投稿システムにある「推薦査読者(Suggested Reviewers)」の欄を、空欄のまま提出していないでしょうか。理由を尋ねると「自分で査読者を選ぶなんて、なんだか厚かましい気がして」という答えが返ってくることがよくあります。これは謙虚さの表れであって、悪いことではありません。ただし、国際ジャーナルの査読制度の中では、この欄を埋めることは自己アピールではなく、編集者の実務を助ける、ごく普通の協力行為として扱われています。まずこの前提を共有しておきたいと思います。

「遠慮」が空欄を生む

日本の研究コミュニティでは、自分の業績や人脈を前面に出すことに抵抗を感じる方が少なくありません。査読者を指名する行為が、まるで「自分に有利な人を選んで下駄を履かせる」ことのように感じられ、遠慮してしまうのも自然な反応です。ですが、国際ジャーナルにとってこの欄が存在する理由は別のところにあります。分野を広くカバーする編集者は、あなたの専門分野の最前線を、あなたほど正確には把握できません。だからこそ、その分野を一番よく知っている人、つまり著者自身に「この分野で信頼できる査読者は誰か」を尋ねているのです。これは編集者があなたに判断を委ねているのであって、あなたが査読を操作しているわけではありません。

推薦は双方にとって拘束力がありません。編集者は推薦された名前を無視することもできますし、推薦された研究者自身も断ることができます。つまり、あなたは審査員を選んでいるのではなく、候補者リストを提供しているだけです。

実際にリストを作るときのポイント

それぞれの候補者には、なぜ適任なのかを一行添え、所属機関名と所属先のメールアドレスを記載してください。理由のない名前は、編集者にとって判断材料が少なく、後回しにされがちです。

AIに候補者を挙げさせるときの注意

「この分野で査読者になりそうな研究者を教えて」と生成AIに尋ねると、それらしい名前と所属、業績がすらすらと返ってくることがあります。ここで注意が必要なのは、生成AIはその研究者が今も存在するか、本当にその大学に所属しているか、実際にその分野で論文を出しているかを、その場で確認しているわけではないという点です。もっともらしい名前と所属の組み合わせが、実在しない人物や、何年も前に異動した所属先として出力されることがあります。推薦査読者は編集者があなたの専門性を信頼して尋ねている項目なので、AIが挙げた候補をそのまま提出するのではなく、必ず本人の直近の論文や所属先を自分で確認したうえでリストに入れてください。

ルールはジャーナルごとに違う:推測せず確認する

何名推薦すべきか、必須なのか任意なのか、また「この人には査読してほしくない」という除外指定ができるかどうかは、ジャーナルによって、そして時期によって変わります。頼れるのはそのジャーナル自身の最新の指示だけです。

  1. 「Instructions for Authors」「Guide for Authors」のページを開き、「suggest reviewers」「recommend reviewers」で検索してください。投稿チェックリストの中に埋もれていることがよくあります。
  2. 投稿システム自体も確認してください。推薦査読者の入力欄や人数の上限は、実際にアップロードを始めるまで表示されないシステムも多くあります。

それでも分からなければ、編集部に直接メールで問い合わせてください。これは失礼な質問ではなく、ごく普通のやりとりです。

推薦したあとに待っていること

適切な査読者が選ばれると、コメントはより具体的で鋭いものになります。それは論文にとって良いことですが、同時に、生半可な回答では済まない、踏み込んだ指摘への対応が必要になるということでもあります。その前提として、原稿の英語自体が、査読者の集中力を science ではなく grammar に奪わない水準になっていることが重要です。この段階を整えるのがアカデミック英文校正レベル3です。そして査読報告が実際に返ってきたあと、一点ずつ丁寧に、かつ協力的な調子で回答をまとめる作業は、それ自体が別の技術です。そこは査読対応サポートが引き受けます。

推薦査読者の考え方を含む投稿準備全体は、Uni-editの英語版書籍「How to Fix Your Academic English and Publish Your Research Faster」の査読者に関する章(英語)でも取り上げています。

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